「何度も戸締りを確認しないと気が済まない」「何回も手を洗わずにはいられない」「充分すぎるくらいの数を所有しておかないと安心できない」「何をやるにも一定の数にこだわってしまい行動が束縛される」「不吉なことや罪なこと、汚いこと、悪いことを思い浮かべてしまい、それが現実にならないか大変心配してしまう」などの状況で日常的に大きな苦痛を感じている人は少なからずいると思われます。
誰にでもあるような“験(げん)担ぎ”や“おまじない”なども強迫の一種であり、人として必要な心理的メカニズムなのですが、それが過剰に誤作動をし続けると障がいとなり治療対象となってしまうのです。
性格とか考え方の問題として放置している場合も多いものですが、適切な治療により軽減させることは可能なのです。
治療法としては、薬物療法と行動療法が挙げられます。強迫性障がいの治療には比較的高用量の投薬を要することが通常です。多量の薬剤を服用し続けることには抵抗があると思いますが、それによりかなり苦痛が減るケースを多く見てきています。強迫性障がいの症状による苦痛はとても日常的な生活に密着したものであるため、その恩恵は大きなものとなるのです。
また、薬物と同様に重要なのは行動療法です。特にエクスポージャー法(曝露反応防止法)と呼ばれる治療法が主に採られます。
トレーニングとなり治療自体が苦しい面があるため、専門の治療者のサポートを得ながら行う方が効率良く行えます。
不潔を過剰に恐れていてきれいを保つのが大変、鍵を外出する度に50~100回位確認しないと出かけれらず外出も大きな苦労、などに心当たりのある人は、是非医療機関への受診をお勧めします。
強迫性障がいの治療には粘り強さが必要でもあり、数年間単位で行われることが多いのですが、当クリニックでは治療対象としております。
専門性のある行動療法も取り入れております。
今まで病気とは思っていない人が多いと想定されますが、もっと本来は楽に生活を営めるし、心のエネルギーを不適切なところに費やしていたのだ、ということを知ってもらいたいと切に願っています。