2024.09 困難に立ち向かうストレス耐性を身につけましょう〜
2024/09/25

強いストレスを受ける困難な状況(仕事など)を乗り越えるのに必要な要素というものがあります。ある学者により提唱された首尾一貫感覚と呼ばれる概念の構成要素の中から、ストレスへの抵抗力を上げ、心の健康を維持するのに重要な3点を取り上げます。まず一つめは「有意味感」です。生活の中で遭遇した出来事に対し、それが自分にとって意義があり、価値があると思える感覚です。どんなことにも意味を見出す力と言えます。それによって、何事にも前向きに取り組めるようになる上、成長につながることにもなります。次に「全体把握感」です。自分の置かれている状況を理解でき、これから先の見通しを予測できる力です。それによって、希望を見出すことができ、無用な心理的圧迫感を減らすことも可能となります。より現実的で建設的な行動を取れることにもなるでしょう。最後に「経験的処理可能感」です。遭遇する出来事に対して、何とか対処できるだろうと思える感覚です。きっと上手くできると確信する力とも言えます。困難に対面しても、ある程度楽観的に思えて過剰な不安を減らすことにつながります。これらの感覚を養うことを意識し、常にプラスの意味を考え、広い視野と複数の視点を忘れず、小さくても成功体験をきちんと活かす、これらのことが重要となるでしょう。

2024.09 ココロに効く食事〜セロトニンを上手に増やそう
2024/09/06

どのような疾病でも同じことが言えますが、調子を整え回復させるには、快適な睡眠や休養と同様に、良好な食事摂取を心掛けることが大変重要です。薬物療法を行っているとしても、その作用を十分に発揮させるための土台として、様々な栄養素が必要となってくるものです。うつ病や不安障害を治療するために投与される薬物は脳内伝達物質であるセロトニンに働きかけるものが多いのですが、セロトニンそのものを投与しているのではなく、あくまで生体内で作られたセロトニンを有効活用するための薬です。セロトニンの原材料は必須アミノ酸の一つであるトリプトファンであり、必ず食事により摂取しないといけないものなのです。トリプトファンを多く含む食品として、納豆、豆腐などの大豆製品やゴマ、ナッツ類全般、魚(特にマグロ赤身やカツオ、ハマチ)や海苔、ワカメ、そして肉(特にレバー)や卵黄が挙げられます。より効率良く吸収させるには、果物などと一緒に空腹時に摂取する工夫もあります。有効活用のため、ビタミンB群やビタミンC、マグネシウムも必要です。他には、青魚や鮭に多く含まれる魚油のDHAやEPAなどのω3脂肪酸も重要な栄養素です。要するに、和食中心のバランスのとれた食生活を心掛けることが、ココロの養生につながると思われます。

2024.07 「自分の健康のプロを目指す」を目標にしませんか?
2024/07/30

私の信念として「医師は病気の専門家のみではなく、健康の専門家でもありたい」という思いがあります。私自身はまだ力不足ですが、皆様方こそ健康のプロであって欲しいと願っています。重要なことは何と言っても健康第一です。個々人の状況に応じ上手く折り合いのついた健康を志して下さい。健康の中でもメンタルヘルスを軸に意識して下されば自ずと身体も生活も充実したものになると考えます。心を病む人は大変多くなっており、人生の質の大きな低下・損失を被っているのが実情です。@休むAストレスをためないB自由に生きる、の三点を意識して下さい。休養や睡眠を大事にする。休暇のスケジュールから先に入れる。自分にご褒美を与える。働き過ぎない。「〜すべき」思考をやめる。適宜身体をほぐし深呼吸を意識する。そうやって休む時間を少しでも増やすよう心掛けて下さい。ストレスは避けられないのでためないことを。逃げる、脇に置く、吐き出す、ように。馴染みの解消法に偏りがちになるため、「対決する」方法も選んでみては。趣味など自分だけの時間を持つ。他人や過去の自分と比較しない。他人や自分の感情に縛られない。そんな自由さも大切にして欲しいです。

2024.07 あなたは自分自身のこころのボス(支配者)ですか?
2024/07/08

「自分のことは自分自身が一番分かる」と言えるのと同時に、「自分自身のことは本人からは見えにくい」とも言えます。どちらも適切な表現であると考えますし、その両側面を忘れないことは大切でしょう。その上で、自分のこころを正しく把握し、コントロールすることが重要と考えています。
誰かから「こんな感情や思いにされている」「こんな行動を余儀なくされている」と考えるのではなく、「自分はこう感じ思う」「自分はこう行動する」という心構えを持つ意識が大切です。それは、自分のこころの状態に責任を持つことであると同時に、自律性や自己存在意義、自己肯定感などを培うことにもなり、更には、他者に左右されないこころの安穏を生むことにもなります。
その実践を行うに当たり、アイ(I)コミュニケーションを心掛けてみて下さい。その名の通り、対話を行う際に「私としては」という主語を敢えて入れてみましょう。意見や評価を述べる際に、相手の言動に対し直接的に感情的に反応するのではなく、相手を否定せず尊重しつつ「あなたの言動や振る舞いに触れた時、(私自身の責任において)私としてはこう感じた・思った・行動したくなった」と伝える技術が、対話を建設的・発展的なものにするでしょう。

2011.01 きちんと前を見て人生を歩んでいますか?
2011/01/14

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願い申し上げます。引き続き、思うところや感じたことをめっせーじとして発信していきたいと思っています。
歩いているというつもりがなくても、年が明けていくように、人生の行脚は着実に続いているものです。道を歩くことと同じで、基本的に前を向きながらも左右上下を時々見つつ、たまに後ろを振り返る、そのような人生の歩み方をしていくことが理想であろうと思うのです。後ろ向きに過去ばかりに囚われていては、到底正しい方向に歩んではいけませんし、様々な障害にぶつかることでしょう。転ぶことも多くなります。また、俯いて下ばかり見て歩いていれば、限られた視点でしか進めず、大した距離も歩めない状態となるでしょう。
そして、上を向いてばかりいれば、足元がおろそかになり、思わぬところでつまづき転んだり足元をすくわれてしまったりすることでしょう。さらに、左右ばかりに気を取られていれば、長い人生を歩むには疲れ切ってしまうかもしれませんし、本当に歩むべき道を見失うことにもなるでしょう。自分はどの方向をどの程度見ながら日々生きているのか、しっかり前を見ているか、時々自問・確認してみることをされてみては如何でしょう。

2010.09心配する事が絶えなくて辛いと思っていませんか?
2010/10/18

生きていれば心配事はいくらでも出てくるものです。そもそも「心配する」行為は否定されるだけのものなのでしょうか?心配は「心を配る」ことです。言い換えれば、思いやり・利他の心です。そのように考えれば、心配も人間として根本的に必要不可欠で理想的な状態と思われます。また、心配するということは、その対象が存在するからであり、それだけ自分にとって重要な存在や事柄があるからこそと考えられます。心配事が多いことは、その全てが決して辛く無駄で有害な心の動きということだけでなく、それだけ自分を、そして相手を大切にし、思いやる力があるということです。また、それだけ自分を支え、関わりのある大切な相手がいるということでもあり、それだけ結果としての感謝や充実感・一体感を得られることもあると思うのです。案外、心配するという行為は大きな支え・活力となっているかもしれませんよ。

2010.07 相手のことをいつもどのくらい認めていますか?
2010/07/14

自己否定や自己卑下は行いがちであるけれど、他者のことは基本的に批判や攻撃をすることは無いと思われる人は多いでしょう。「相手(の能力・存在)を認める」は簡単なようでいて、意外と出来ていないことがあります。責める、否定する、をしないから「相手を認めた」ということにはなりません。「相手が自分は認められた」と感じられて初めて認めることになると思います。愚痴や不満を聞かされるような不快な関わりであっても、まずは「そうだね」「よくやっているね」ときちんと言葉・情感で返すことが大切ではないかと思います。その関係性がとりあえずでも成立して初めて、お互いに心のゆとりができ、その先の率直な意見交換を円滑にし、ひいては自分自身をも認める結果になるものです。

2010.06 「自分はOKである」と言えますか?
2010/06/25
「自分はOK」かどうか問うてみて下さい。OKだから何をしても許されるということではなく、存在として本質的な意味でOKであるということです。OKなのは自分だけでなく、あなたに接する相手もOKであると思えていますか?

両方OKと思われた人は問題ないのですが、どちらかについて「OKではない」と思われた人は、心に何らかの苦しみを抱きやすいことでしょう。特に「自分はOKではない」と思われた人は、憂うつや不安を生じることが比較的多いことでしょう。そう思っている人は、自分のOKな面について思いを馳せ、「自分はOK」なら、どう考えるか、どう行動するか考え直して下さい。「人は誰しもOK」の理念を抱くことは、メンタルヘルス向上につながるでしょう。
2010.05 変化について上手にとらえていますか?
2010/05/10

昨年度を振り返ると色々な出来事があったと思います。
その中で想定通りの出来事・変化はどの程度ありましたか?予想外のことが多かったという方が普通なのではないでしょうか。裏を返せば、「平凡に過ごす」ことができるということは、案外幸せなことなのかもしれません。
「諸行無常」の内容は前に書きましたが、自分自身を含め物事は変化し続けるという当たり前の前提を、改めて思い起こしてみることは有意義と考えます。また、変化に対する身構えとして、変化前の状況の良い面と変化後の状況の悪い面が強調されがちであり、変化前の状況の悪い面や変化後の良い面は見落とされがちとなる傾向があるものです。その逆を意識して考えていくことは、変化への柔軟な対応に役立つでしょう。